思いの他近い場所に、あの鉱毒事件で有名な足尾銅山があったりもしたので、埼玉深谷に買物ついでに寄って見た。
せっかく栃木に住んでいるのに、後学の為にもこういう歴史的遺構を見過ごすのはどうかと思う、なんてケッタイな理由をつけて新緑の高原へ、4200ccから出る排気ガスとガソリンをばら撒きに行ったのだ。
鹿沼から足尾に抜ける峠道は我がサファリではちょっと狭い。対向車が来ないことを祈りつつ駆け抜けると、唐突に足尾の町である。
当日は雨降りということもあり、銅山観光は不安になるほど空いていた。

こんなトロッコに乗っていくのだが、補機が付くほど急勾配。しかもラックレール式だったりする。ちょっと意外にビックリ。
ぐえーんというモーターの音と、ピーピーうるさいスピーカーのノイズが高まったと思ったら発車。直ぐに下の駅。ゴキンと乱暴に補機が外れて、トロッコだけになったらいよいよ坑道の中へ。
オトコノコなら誰でも無意味にコーフンするのだ。

坑道の入口。ココからなんと、1200キロもの坑道が伸びているというのだ!スゴイぞ足尾銅山。1200キロっていったら東京から博多まではあるぞ。さっきのラックレールといい坑道の距離といい、すでに鉱毒がどうのという暗いイメージがスコっと抜けて、単なる土木機械好きの目付きに変わってしまったようだ。いやあ何か得した気分だなあ~。

観光坑道の行き止まり。まだまだ奥は延々続いている。のにココで降りろと言う。猛烈にこの奥へ行きたい衝動に駆られる。だってトロッコに乗ってまだ5分と経たずに終点なのである。
思わず”あの柵にぶつけろ”と運転手に命令してしまいそうになる。

こんな機械で運ばれていったのだ。いやあまったくカッコいい。
しかし、銅山賑やかりし頃にココで働けと言われれば丁重にお断りしただろう。粉塵や温度湿度にプラス重労働なのである。
私は分別ある現代の若者出身双子山部屋なので、”無理無理ぜってーありえないそーいう自虐おかしいんじゃねーの?”である。
江戸時代から昭和の閉山までコツコツ掘ったトンネルは1200キロ。人間てのは何でも出来ちゃうのだなあと改めて感心する。
炭鉱労働者の皆様が必死で掘った跡の付いた巣掘りトンネルを見れば感慨もひとしお。

内部の展示もなかなか面白かった。見入ってしまって写真が撮れてない。決して電池が無くなった訳ではない。江戸時代~明治大正~昭和閉山までと展示の流れは解り易く、その時代の科学力を総結集した採掘をしていたのだと解る。現代土木マニアには堪えられないドカドカ(注1)の歴史も展示される。

結局かの有名な足尾銅山鉱毒事件の日本で最初の公害訴訟と田中正造の功績については触れられずに終わっているが、緑の蘇った鉱山を見れば無言のうちに語られているということなのだろう。
事実、ココは廃坑なんだし。
(注1)ドカドカとは? 説明しよう。振動ブレーカードリルとも言う岩盤などに穴を開けたり砕いたり(ハツリという)する機械。電動とエア式があるが、エア式のほうがより強力でそれ”らしい”。
よくドラマの土木作業シーンで有名だが、実際の操作はとても過酷である。
振動に起因するハクロウ病等の病気になりやすいので、基準法では2時間で休息または交代が義務付けられている作業である。
観光銅山ではドカドカを体験できるコーナーがあったが、土木マニアに言わせれば「ばかにすんなよ」程度の振動しかなかった。
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- 2006/05/28(日) 20:28:33|
- オデカケ
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